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ブライアンとビートルズ

「ザ・ビートルズ・サウンド 最後の真実」(ジェフ・エメリック著)を読んだ。
ジェフ・エメリックはビートルズのエンジニアをしていて、ビートルズが新人の頃から解散、解散後を音楽という仕事を通して見てきた人である。

この本、おもしろかったですよ!
ビートルズのことはなんとなくしか知らない私でも、楽しめました。
ファンだったら、きっとものすごく楽しめると思います。

そしてもちろん、私がこの本を読んだのは、ブライアンのことが出てくるからです。(少しだけだけど)
ビートルズとストーンズは、当時表向きはライバルだったけれど、実は親交があったので、ブライアンファンとしては、ビートルズのことを知ることも大切!と思ったわけです。

著者であるジェフの目を通して、ビートルズ4人のメンバーのキャラクターが浮かび上がってきます。
ジョンはジェフから見ても、二面性があって複雑な人。
ジョージとリンゴはおとなしめで、ジェフとはそれほど親しくはなかったようです。
ジェフが一番好意を持っているのは、どう読んでもポールです。
天才でありながら、それほど複雑でもなく、気むずかしいわけでもなく、気さくな面もあって、付き合いやすかったのでしょうね。
(私はビートルズのメンバーについて詳しくはないのですが、これはあくまでもジェフの目から見た4人ということです)


この本を読んでいて、ビートルズのメンバー同士の関係は、ストーンズに比べて、なんて友好的なのだろう!と思いました。
例えばジョージがスネて飛び出していった時は、ジョンやポールが慰めてフォローしたり。
メンバー同士がギクシャクしていても、誰か一人をターゲットにして仲間はずれにする、なんてことはないのです。

これが大人の関係だよね……、と思います。
やっぱり例え、ブライアンに問題があったのだとしても、周りの人間が異様に思うほど、仲間はずれにするというストーンズの体質はどうだったのかと、あらためて疑問に思ってしまいました。
しかしストーンズのことを知れば知るほど、ブライアン一人をターゲットにした、それほど陰湿なイジメが本当にあったのかどうか、納得できなくなってきているのですが。
”イジメ”というより、”対立”ではなかったのか、と。


「ユー・ノウ・マイ・ネーム」のセッションに現れたブライアンのことが次のように書かれています。
※引用※
ローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズもゲストのひとりだった。ギターを弾いてほしいと頼まれていたのに、彼はサックスを持ってきた。ぼくは彼がサックスを吹けるとは知らなかった――いや、彼自身にも、吹けるかどうかわかっていなかったのかもしれない! だが時代が時代だったので、ポールもジョンも「いいよ、じゃあサックスを吹いてもらおう」となり、ブライアンはいわれるままに吹きはじめた……ただし、おせじにも上手いとはいえなかったが。ブライアンはもの静かな男で、それまでに会ったほかのストーンズのメンバーとは、まるっきりちがっていたけれど、その晩は完全にあっちに行っていて、自分がどこにいるのかもわかっていない様子だった。

この引用文の中から思うこと、いくつか。

まず、ブライアンはストーンズを創るまでは、他のバンドでサックス奏者をしていたので、元々サックスは吹けたはずです。
ブライアンというと、スライド・ギターのイメージが強いように思いますが、実はクラリネットやハーモニカ、リコーダーなど、”吹く”楽器も得意だったのではないでしょうか。
スライド・ギターに関しても、"英国で初めてスライド・ギターを弾いた人"ということですが。
しかし「おせじにも上手いとはいえなかった」とは……;

でも、ポール・マッカートニーは、
「「You Know My Name」では、ブライアンがおかしなサックス・ソロを披露してくれた。感心するほどの立派な演奏じゃないけど、まさに僕らが求めていたものはあれだった。ブライアンはそんな風に「出来る奴」だった」
コメントしてくれています。

「上手」ならいいとは限らない。例え「上手」じゃなくたって、心が惹き付けられる音ってあるのです。
ブライアンの音には”色気”を感じるんですよね~

そして、この時のブライアンの様子をジェフは、
「完全にあっちに行っていた」(つまりドラッグでラリっていた?)
と言っていますが、ポールは、
「彼(ブライアン)がサックス片手に、ガチガチに緊張してスタジオにやってきたんで、僕らは『あれ? ギターじゃないの?』って言ったんだ」
と言っています。

この二人のブライアンの印象は真逆ですよね。
”ガチガチに緊張しているブライアン”が、ジェフには”完全にあっちに行っていた”と見えたのでしょうか?

そして気になったのは、この言葉。
「ブライアンはもの静かな男で、それまでに会ったほかのストーンズのメンバーとは、まるっきりちがっていた」

ブライアンは、やはり基本的にはもの静かなタイプだったのだと思います。
(確かチャーリーも同じようなコメントをしていた)

「According to THE ROLLING STONES」という本の中で、フォトグラファーのデヴィッド・ベイリーが次のように語っています。
「俺はブライアンが好きだったが、奴は甘やかされて育ったすごいわがまま野郎だった。実際彼のアクセントは、他のメンバーよりしゃれていたしな」
彼はまた、ブライアンとミックの間には(音楽的なことで)強い対立があった、とも語っています。
ブライアンは商業路線に走ろうとするミックに、どうしても賛成できなかったのだと。

確執の本当の大きな原因は、このようなやろうとする音楽性の違いだったのだと思います。

ブライアンはストーンズで成功したかったから、自分の中にある葛藤をドラッグとアルコールで紛らわせた。
しかしメンバー内の確執も悪化していくし、反逆児のイメージが強かったためかドラッグ事件の標的にされて痛めつけられた。

以前書いた「ブライアンいいヤツ発言」で、ジョン・レノンはブライアンは最初はいいヤツだったのに、だんだん壊れていった、と言っています。
ストーンズで活動しているうち、ブライアンは壊れていった……、つまりストーンズ的な生き方が、ブライアンには自分が壊れていくほどのストレスだったのでしょう。

ブライアンに必要だったのは、置かれた状況で、どう振舞ったらうまくやっていけるかという良きアドバイスをしてくれる人だったのかもしれません。
ある意味、ストーンズをブライアン中心に戻そうとしたアニタの存在は、ブライアンにとって救いの女神のように思えたのかもしれませんが、アニタのやり方は、ちょっと攻撃的過ぎた……。


「A DAY IN THE LIFE」のセッションに参加したときのことも書かれていました。
※引用※
レコーディングの現場を包む雰囲気――パーティーやコスチュームをまとった人々――が、すべてをより特別な感じにしていた。リチャードとぼくはコントロール・ルームで、スタジオを次々と訪れるゲストの豪華さに目を丸くした。ミック・ジャガー、マリアンヌ・フェイスフル、キース・リチャード、ブライアン・ジョーンズ、ドノヴァン、グレアム・ナッシュ、モンキーズのマイク・ネスミス。

この曲の歌詞はビートルズの、またブライアンの友達でもあったタラ・ブラウンが交通事故死したことについて書かれていると言われていますが、ジョン・レノンは、詞を書いている間中、彼のことを考えていたが、直接描写してはいない、と言っているようです。
歌詞のこの部分ですね↓
He didn't notice that the lights had changed(彼は信号が変わったことに気付かなかった)

このセッションの映像を見ると、ミックやマリアンヌ、キースはハッキリとわかるように映っているのですが、ブライアンがわかりにくいです。
どれがブライアンでしょう? サングラスかけたり、ヒゲつけたりして(付け髭じゃないかも)仮装してるのがブライアンですか?
ブライアン探しに挑戦。↓
「A DAY IN THE LIFE」


しかしこの曲、正にドラッグの世界……、という感じですね。
盛り上がっていって、ピアノの音(?)だけになるところなんて、最高。

エンジニアであるジェフの音作りの過程を読むのも楽しいです。
※引用※
たとえばポールのヴォーカルは、すでにジョンのリード・ヴォーカルが入っているトラックにドロップインしなくてはならず、しかもドロップアウトのポイントはかなりギリギリだった――ポールのうたう「……and I went into a dream(そしてぼくは夢の世界に)」と、次のセクションの冒頭を飾るジョンの「ahhh」の狭間。

この「狭間」を意識して聴いてみるのも、おもしろいです。
ストーンズ版の、こういうエンジニアが書いた本があればいいのに。

その他、ブライアンがビートルズのセッションに参加している曲「Yellow Submarine」。
『ビートルズ・レコーディング・セッション』によると、ブライアンは”グラスを合わせてチンという音をたてていた”とあるそうです。
曲の1分頃に聞こえるグラスを鳴らしている音がブライアンです。
この曲ではコーラスにも参加していますが、グラスの音はブライアンの”ソロ”です。笑

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